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MATSUFUJI KAI

作曲・アレンジ、そしてすべての楽器を松藤がプレイ、
甲斐が全面プロデュースの上、ヴォーカル・作詞をも手掛けた待望のアルバム!
江国香織・Gussan・m.c.A.T・GAKU-MC・前田たかひろ ほか、豪華作詞陣を起用。

● 松藤×甲斐:松藤英男・甲斐よしひろ-[Apr.02.2003]
松藤×甲斐
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  1. あいのもえさし
  2. 憧憬Love Dayz
  3. かなしみがすきとおるまで
  4. きんぽうげ
  5. LaLa-LaLa
  6. 花、太陽、雨
  7. 懐かしい未来
  8. ―サスライ―
  9. ju-ba-ku
  10. APRIL SONG(ぬるい時間の河を泳いで)
  11. レイニー・ドライヴ(アカペラ・ストーム・バージョン)
◎ TV Mix(新星堂オリジナル)-[Not For Sale]
TV Mix
  1. きんぽうげ
  2. あいのもえさし
  3. レイニー・ドライヴ(アカペラ・ストーム・バージョン)

※TV Mix = カラオケです・・・

「Plime」から何年経ったのだろう・・・待望の松藤のアルバムである。
今回は甲斐よしひろとタッグを組んだユニットでのアルバムリリースとなった。
全ての楽器を松藤がプレイするというのも特筆に値すると思うが、何と言っても「きんぽうげ」のセルフカバーしているのが、個人的に大きな目玉であった、また「レイニードライヴ」はアカペラでこれまたセルフカバーという嬉しい話。
カバーばかりに目が行ってしまっているが、松藤のヴォーカルは甲斐のステージでも継続的に聞くことが出来たし、好きな「声」であるので、今回はどんな「声」で酔わせてくれるのかと期待いっぱいでリリースを待った。
今回は甲斐よしひろの「牙/タスク」と同じ新星堂を流通ルートに置いたOMAGATOKIのレーベル(OAK Records)によりリリースされた。

まずはその期待の「きんぽうげ」のセルフカバー具合。
歌の上手さは相変わらずで心配する事がない、しかしこの歌はやっぱり甲斐のヴォーカルが一番だなと実感してしまった。
多分甲斐バンドの曲の中で一番身に染みてるからこそなんだろうけれど、こういうアレンジの違いに極端な違和感を覚えてしまうのかもしれない。
嫌いなリズムではないけれど・・・・だ。
ギターソロの部分がフルート?やスキャット(っていうのか?)で表現されていたけれど、個人的趣味で言うと×であった。
甲斐がステージでヘンにアレンジを変えて演る時の感覚に似ていると思う、松藤のアレンジのせいではない・・・。
もうひとつ甲斐バンド時代のセルフカバー「レイニードライヴ」。
これはアカペラであるというのが、松藤声が好きな自分にとっては凄いプレゼントだと思っていた。
メロディを奏でるサンプリング?の声が何とも機械的というか、無機質な声でちょっと・・・しかし松藤のヴォーカルが加わると深みは増し、気にならないか・・・。
この2曲はやっぱりオリジナルが自分ですごい思いいれのある曲故、例えそれが松藤がカバーしていたとしても、オリジナルを超えることが出来ないというのが率直な感想だ。
しかし、いい歌だなぁ、これ・・・・今でもPARTYのあのシーンが蘇ってくるようだよ。
セルフカバーという枠を取っ払ってしまえば、感動に値する出来だと思う。

辛口な意見をちょっと置き、今回のアルバムで好みの曲をご紹介・・・
「かなしみがすきとおるまで」は作家の江国香織氏の作詞。
綺麗なギターのサウンドとほわっとしたヴォーカルに歌詞・・・明日を、未来の幸せを予感させる曲で○。
「LaLa-LaLa」はGussanこと山口 智充(DonDokoDon)が書いた素直な歌詞に明るいリズムに好感が持てます。
聞いてて気持ちが良い・・・(^_^)。しかし何処となく佐野元春の「Someday」を思い出させる曲調ですな・・・それも好きだからいいんですが。
「花,太陽,雨」は良い歌ですね・・・以前どこかで聴いた事があるような気はするんですが、確かな記憶ではないです。
これはカバーって事なんですが、オリジナルはPYGってバンドがやってます。
このバンド、1960年代に一世を風靡したグループサウンズ・ブームの頂点に立っていたザ・スパイダース、ザ・タイガース、ザ・テンプターズのメンバーが1971年に結成したもので、メンバーは豪華で沢田研ニ(Vocal:ザ・タイガース) 、萩原健一(Vocal:ザ・テンプターズ)、井上尭之(Guitar:ザ・スパイダース) 、大野克夫(Keyboard:ザ・スパイダース)、岸部修三(Bass:ザ・タイガース)、大口広司(Drums:ザ・テンプターズ)というもの。
曲がいいなーと思ってみたら井上尭之だった(「太陽にほえろ」や「傷だらけの天使」の曲が思い出されますね)。やっぱり格好がいいなー、すごい。
オリジナルを聞いた事がないので(たぶん)カバーの意識もなく単純に松藤と甲斐のコラボレーションを楽しませてもらったが、素晴らしく良い出来。
ちなみにこの曲はPYGの1971年4月に発売されたデビューシングルというから凄い。(GS出のロックという事もあって、受け入れられずに翌年まで活動していたようだ。(各メンバーのそれぞれの活動は皆の知るところによるだろう)

またアップテンポの曲で自分好みなのが「懐かしい未来」。
ヤケに韻を踏む歌詞だなーと思って作詞を見たらGAKU-MC(^_^;;;;。
やっぱりラッパー系って韻が命なんでしょうか・・・ちょっと違和感がありつつも、松藤のヴォーカルだと可愛らしく聞こえるのはキャラクターのせいでしょうか。
アトム生誕記念賛歌のような曲か・・・でも、明るい未来を予感させてくれる曲に◎。

このアルバムの曲の流れだとこの辺はもう最高だなー。多分自分の中では「あいのもえさし」は重いかもしれない。
「−サスライ−」は甲斐とのツインヴォーカルが聞ける曲。
なんと言うか懐かしい響きの曲調のほんわかとするんですな、この後の神妙なテーマ?の「ju-ba-ku」とのカラーの違いのコントラストを上手く変えているのかもしれない。
甲斐曰く「小学生並み」と言わしめた歌詞もご堪能下さい・・・(^_^;;;

そういう流れではいい感じで始まる「ju-ba-ku」はいい曲だなー、歌詞がどうだかとか先に曲のイメージで好きになるか決ってしまう、自分の聞き方で申し訳ないですが・・・。
「APRIL SONGS」はアルバムのエンディングを飾るような広がりを持った曲。
実際エンディングで丁度いいような感じ(トラック10)、そうなるとトラック11は?となるとボーナストラックのような気がしてくる訳だ。
ここにも何の気なしに紛れている「呪縛」という言葉に何だかハッとさせられるのであった・・・。

アルバムタイトルにもなった「松藤×甲斐」というユニット名から、もっと甲斐色が出てくるのかと思ったら、逆に自分の思いに近い松藤色で染まっていたのが嬉しいアルバムだった。

新星堂予約特典でTV Mix集が付いてきたが、オケを聞くコトで松藤の作り込みの拘りが強く感じられすごく良かった。
自分が演奏するからか曲の構成を楽器の音に注目してしまう点で、上のような辛口とも言えるコメントになるのをご勘弁願いたい。
しかし、だからと言って演奏がどうとか言っているのではない、自分の好みの音かそうでないか・・という点で辛口になる面があるという事だ・・・これは「好き嫌いの音やアレンジ」であって、松藤の何たるかを否定しているのではないコトを頭に置いて読んで頂きたいのである。
そういう所では「憧憬Love Dayz」での弦と指が擦れる生々しい音に聞き入ってしまったりする。歌詞がどうとか言う前にそういう点に聞き耳立ててしまうのだ・・・例えばこの曲をコピーしたとしよう・・同じように弦が擦れる音が出るとゾクゾクっとしてしまう、そんな楽しみ方をしてしまう、そんな聞き方をしてしまうって事だ・・・。

今回のアルバムリリースに合わせある程度予想はしていたものの、このユニットでライヴが行われる事になったようだ。
東京キネマ倶楽部という洒落たハコでやる・・・やっぱり見に行くかなー。

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