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the egoist 1990 TOUR : KAI YOSHIHIRO

the egoist TOUR 1990
流れはまだA.G.LIVEの真中ではあったが、3月にリリースされた「エゴイスト」のツアーが6、7月で行なわれ、そのファイナルで東京ベイNKホールで完結した。
ライヴのオープニングは何と「I.L.Y.V.M」!!
U字型のスタンド席と思いもよらない空間だったのとセットリストの良さに改めていいライヴだったんだなーと思い直す。
このパンフレットのお陰でアルバム「エゴイスト」のCD盤面にちりばめられた何かの模様が甲斐自身である事が判った。(甲斐が立って握手するべく手を差し出している)。
単に目がチカチカするような幾何学模様って訳じゃなかったんですねぇ・・・失礼。
中には甲斐と萩原健太氏との対談が掲載されており、写真はA.G.のステージショットやアルバムジャケットでの写真のコラージュ?が一種独特・・怖さも秘めてちりばめられている。
パンフレットは見ての通り八角形という業者泣かせ(してそうだよねー)のものである。

TALK


----ニュー・アルバム「エゴイスト」。ずいぶんと強いタイトルですね。

「強烈な自我、強烈な自意識、強烈なエゴ・・・それが必要なんだ。とはいえ、今、ちゃんと腹のすわったところで夢を語ることがだんだんむずかしくなってきた。
そんな時代だと思う。人間とか、社会とか、愛情とか。
いろんだ意味で全てがもろくなってきた時代。日本人の場合、強烈な自我とか自意識とかをいけないこととみなす風潮があるでしょう?」

----抑えることが美徳だ、と。

「そう。謙譲の美意識。でも、これだけ全てがもろく、切なくなっているんだから。もはや、もっとポジティヴにならない限り何も語れない時代だと思う。これだけもろくなってきているということは、そのもろくなった隙間さえ的確にとらえれば、実はいろんなことが語りやすい時代でもあるんだ。臭い言い方だけど、夢とか、ロマンとか。それを肯定的に語ることができる時代でもあるよ思う。もちろん、ただポジティヴなだけでも意味がない。
"光"の中に躍り出るためには、"闇"を熟知していないと。つまり、今この時代に対するネガティヴな視点をきっちり持ちながら、見構えながら、その上で、あえてポジティヴになれるかどうか。これが、今回のアルバム全体を通してのキーワードだった」

----時代の終末感や退廃を逆説的に楽しむのではなく。

「そう。もはやシニカルなだけの視点からじゃ何も語れやしない。そんなことしてる場合じゃない。それぐらい、みんな無意識のうちにも見えてきてしまっているということなんだ。無責任に、饒舌に、軽快に、建て前ばかりを語って、真の表情を何ひとつ見せない人間も多い。と、周りを見れば終末感だらけの時代。でも、だからこそ自分の力を肯定して、信じて、何かを語ろうとする、その気持ちだけは捨てたくない、といっても、別に不特定多数に対して何等かのメッセージを放つとか。ぼくはそういうやり方で何かを語ろうとする気はないけどね。個人に対して、自分自身に対して、問いかけることこそが最も痛烈だと思っているから」

----それが甲斐よしひろにとっての"エゴイスト"?

「うん、ぼくはそんなふうにエゴイストでありたい・・・・・・」

萩原健太+甲斐よしひろ


BAND CREDIT

KAI YOSHIHIRO Vocal
MAKOTO MATSUSITA Guitars
YASUO TOMIKURA Bass
MASAHIRO MIYAZAKI Drums
AKIO SUZUKI Saxophone/Keyboad
YUTA SAITO Keyboad
YOSHIO MIYAZAKI Guitar