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DESTROYER

DESTROYER
  1. DETROIT ROCK CITY (5'20")[Stanley/Ezlin]
  2. KING OF THE NIGHT TIME WORLD (3'13")[Fowley/Anthony/Stanley/Ezlin]
  3. GOD OF THUNDER (4'13")[Stanley]
  4. GREAT EXPECTATIONS (4'21")[Simmons/Ezlin]
  5. FLAMING YOUTH (2'55")[Frehley/Stanley/Simmons/Ezlin]
  6. SWEET PAIN (3'20")[Simmons]
  7. SHOUT IT OUT LOUD (2'50")[Simmons/Stanley/Ezlin]
  8. BETH (2'45")[Criss/Penridge/Ezlin]
  9. DO YOU LOVE ME (3'33")[Fowley/Ezlin/Stanley]
  10. Untitleed(ROCK'N ROLL DEMON) (1'22")


KISS  Paul Stanley/Gene Simmons/Ace Frehley/Peter Criss
Musicians and Others : Beth:New York Philharmonic Orchestra/God Of Thunder:David Ezrin & Josh Ezrin(Kiddie Voices)
Sweet Pain:Dick Wagner(Lead/Rhythm Guitar)/Flaming Youth:Dick Wagner(Rhythm Guitar and Backing Vocals)
Beth - New York Philarmonic Orchestra/Great Expectations:New York Philarmonic Orchestra/Dick Wagner(Rhythm Guitar)
Detroit Rock City:Stanley and Frehley(Lead Guitar)/Bob Ezrin(News Reader)
Produced by BOB EZRIN
Recorded at Record Plant Studios, NYC, NY
Casablanca/Warner Bros. NBLP-7025
Released: 1976/3/15    RIAA:1976/4/22  1976/11/11

Kob's Recommended:★★★★★

[Notes]
おそらくKISSの人気を広く決定付けたスタジオアルバム。
とは言うもののデビュー以来のファンはその変貌ぶりに混乱したようだった。
それはそうだろう・・・そういうファンにはシンフォニック過ぎる曲はあるし、何よりPeterの"Beth"は異質に映ったことだろう。
ある意味KISSにとっては冒険だったのだ。今までと同じ事していては前作で勢いつきだしたバンドのスピードを殺しかねない。
アリス・クーパーのプロデュース、後にPink Floydの THE WALL"で名プロデュースぶりを評価される、Bob Ezrinの仕掛けた技は斬新なアイディア等で、それは見事に決まっていった。
アルバムのオープニングは何やら謎めいたSEから始まり、カーラジオから流れてくるのは意味深げなニュースで、歌はさりげなく"ALIVE!"からの"ROCK AND ROLL ALL NITE"で、こうした巧みな小技を散りばめながらアルバムは進んでいく。
この"DETROIT ROCK CITY"の歌詞はわざわざレコードの内袋(日本盤レコードはインナージャケットに転用された)にKISSARMYへの入会案内と共にデザインされていた。
なぜこの曲だけ?何か意味を持って?・・・
歌詞の一部が大きな文字サイズで表記されている・・・「Get up!Everybody's gonna' move their feet〜」彼らがファンに向けてのメッセージなのか、その確実な意味は判らない。
それまでの衣装と換えてこのジャケットのイラスト(Ken Kelly作)で、後に"LOVE GUN"でも担当することになる。
顔は雰囲気を捉えているとは言うものの、似てなくもないという感じもある・・・ただ、ニューコスチュームを取り入れたデザインは、まだ見ぬステージでの彼らを彷彿する材料には格好だった。
アルバムと共にコスチュームを換えて(本作と次作"ROCK AND ROLL OVER"の差はPAULだけ換わるのだが)いく新たな楽しみもあったワケだ。

今ではGeneの象徴とも言えそうな「雷神」というイメージも見事にマッチしている・・・が、この曲はPaul作で元々Gene用に作った歌ではなかった。
事実、Paulのヴォーカルテイクのデモが残っている(BOX SETを聞いてね)が、これはBobが言った通りGeneが歌って正解な曲だった。(ちなみにこの曲で効果的に使われている子供の声はBobの子供たちである)
このアルバムからはシングルカットはまず"SHOUT IT OUT LOUD/SWEET PAIN"がリリースされ、日本でも結構な頻度でラジオでオンエアされるようになる。
自分の中で「初KISS体験」はこの曲であったのだと思い出される、そして次に"DETROIT ROCK CITY/BETH"がリリースされる事になるが、ここでKISSにとって一大事件が・・・。
アメリカであるラジオ局がこのシングルのA面とB面を間違えてかけたことで"Beth"がオンエアされてしまったのだ。これが思わぬ反響を呼び、結果"Beth"は1977年2月10日、People's Choiceを獲得しKISSは労せず今までのファン層とは異なるファンをも獲得する事になった。
後から聞こえてきた裏話では既にこの頃からAce/Peterの言動も舞台裏では酒、ドラッグでおかしくなっていたようである。
そういう面もあってか彼らが提供する曲は却下され、クレジットはされるもののきっちり手を加えられ収録されるようになる。
Aceが弾けないソロは遠慮なく外部のサポートを得て("FLAMING YOUTH"などはDick Wagnerというギタリストが弾いている)、アルバムを完成させるBobの姿勢に彼らは不満を募らせていく。
アルバムのエンディングは"GREAT EXPECTATIONS"をフューチャしたタイトルの無いSE(ROCK AND ROLL DEMONというタイトルだという話もある)が収録され、"ALIVE!"でのPaulのMCを被せた何とも幻想的な終わり方をする。
今ではステージを彩るセットリストに欠かせない曲を多く出した名アルバムという印象が強いアルバムである。
しかし、当時のファンのみならず困惑していたのは当のKISS達であったのではないだろうか・・・そういう含みも持ったアルバムだと思っている。


[More infomation]

地獄の軍団
  1. デトロイト・ロック・シティ
  2. 暗黒の帝王
  3. 雷神
  4. 地獄の遺産
  5. 燃えたぎる血気
  6. スウィート・ペイン
  7. 狂気の叫び
  8. ベス
  9. ドゥ・ユー・ラブ・ミー

BOB EZRIN
Bob Ezruin
前作でライヴをレコードにパッケージングしてアルバムセールスも上がりまさに頂点に向かおうというKISSは、BOB EZRINをプロデューサに起用。
レコーディングはKISSの今までとは大きく変わりオーケストラや合唱団?も参加。そのニュースは周辺を賑わせることにもなった。
この後Pink Floydのビッグヒット・アルバムとなった"THE WALL"をプロデュース、高い評価を受けることになる。
KISSの場合で言うとメンバーへも大きな影響を与えたアルバム製作であったろう。効果音を巧みに挿入し世界を作り上げていった。
また、プレイにしても外部のサポートプレイヤーを起用して、メンバーで得られないプレイはどんどん外注化された。
そういう扱いに対して不協和音が無かったわけでは無かったが、こうしたプレイも近年までは噂でしか表立って語られないなかったような印象を受ける。(既にこの頃からKISSとはPAULとGENEであると言えるのではないだろうか・・・)
このアルバムはKISSにとって新たなチャレンジではあったが、現在では評価の高い名アルバムになったと言えよう。
KISSとはその後、転機を求められた時期に"MUSIC FROM ELDER"で仕事をしているが、およそKISSらしくないとして評価を落としたようでもある。(ワタシはもっと評価されていいアルバムだと思っている)
また、リユニオン後のスタジオアルバム"PSYCHO CIRCUS"でも手を組もうとするが、乗り気でないBOBは降板し、BRUCE FAIRBAIRNがプロデュースする事になる。(そして彼の遺作になってしまうのだ)


ジャケのイメージ
最初のイメージ
今では完全に見慣れた"DESTROYER"のジャケットは廃墟となった町を見下ろし踊る?KISSの面々なのだが、同じコンセプトで当初デザインされていたジャケットはこんな感じだったのである。
判るだろうか?コスチュームがそれまでのツアーで着ていたデザインなのだ。
もしこのコスチュームデザインのジャケットだったらどんな感じで受け止めただろうか・・・・。
何とも貧弱に映ったかもしれない。
Geneなどはそのキャラも手伝ってかそれほど違和感は無いが、Paulを始め他の3人についてはインパクトが薄いという感じは否めないのである。

新コスチュームに変わってもそのポーズがまったく変わらないGeneに対してPeterと鏡合わせのようなPaulの足は曲げられ、ツイストを踊っているかのようなAceはそのキャラクターからか、内股な何を考えているか判らないようなポーズへと変わっていく・・・(^_^;;;
こうしたキャラを確立するコスチューム戦略もうまくツボを当てて、ファンにさらなるファンタジーの世界への誘いをしていたのだった。



中ジャケの歌詞
Inner Jacket
前作"ALIVE!"のヒットを受けてリリースされた本作はまだあの頃には珍しいダブルジャケット仕様で、インナージャケットには海外では珍しい歌詞が印刷されている。
そもそも海外では歌詞カードなるものは本来存在せず、こうした処置は異例なことだった(というハナシを聞いたことがある)
華々しく登場したKISSAMRYロゴと一緒に「SOUT IT OUT LOUD」と書かれ、"DETROIT ROCK CITY"の歌詞が大きなKISSロゴの下に配置。
その下に強調して「Get up!Everybody's gonna' move their feet,Get Down! Everybody's gonna' Leave their seat.」と大きく書かれている。


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