よろける様に遊園地に迷い込む女。 動かない観覧車。 動かない回転木馬。 女は別れた男の事を思っている。 何の事はない自分の上を通り過ぎた何人目かの男。 二人でここへ来ようと思った事も無いし来た事も無い。 だが、今度の男とうまく行ったらこんな所へ来たかもしれない。 「滑稽だわ」女は胸の中でつぶやいている。 小さい頃から、遊園地は自分よりちょっと美しく、ちょっと素敵な少女だけが楽しむ所だと思って来た。 「滑稽だわ」もう一度女は胸の中でつぶやいてちょっと泣きそうになった。